Visual Studio は Microsoft 公式の開発環境です。そのうち、Visual Studio 2005/2008 の Professional 版では Windows CE/Windows Mobile 向けアプリを開発できます。Windows Embedded CE 6.0 のアプリ開発と OS ビルドを行える唯一の環境です。既に製品版を入手するのは困難ですが、90 日間の評価版が無料で入手できます。このページでは、この開発環境を用いて Brain 向けのアプリを作成する手順を紹介します。ただし、第5世代向けアプリはこの方法では作成できないのでご注意ください。
環境構築[]
Visual Studio 2005 Professional[]
現在となっては新規購入は困難なので、90 日評価版を使用します。
Windows 8 以降では、ダウンロードした jpn_vs_2005_Pro_90_Trial.img をダブルクリックでマウントします。それ以前の場合は、マウントツールでマウントする、DVD に焼く、7-Zip で展開するなどして開きます。次に、vs フォルダの setup.exe を実行してインストールします。インストール時の設定はデフォルトで構いませんが、インストール時間を短縮したい場合は「言語ツール -> Visual C++ -> スマート デバイス プログラマビリティ」のみチェックを入れれば十分です。デフォルト設定でインストールすると、最近の環境では SQL Server のインストールに失敗しますが、Windows CE 開発には無関係なので無視してください。
ここで、Windows Update にアクセス可能な環境では、Windows Update で更新を確認すると Service Pack 等がリストアップされるはずなので全てインストールさせます。Windows Update にアクセスできない場合は、Visual Studio 2005 SP1 と、Windows Vista 以降の場合は追加で Visual Studio 2005 SP1 Update for Vista を手動インストールします。なお、Windows Update が KB2938803 のインストールで詰まった場合は KB2938803 (直リンク) をダウンロードし、再起動後即座に (Windows Update が始まる前に) 手動インストールすると解消します。
最後に、開発環境・SDK の SDK の表のうち、VS2005 用のどれかを選んでインストールします。Brain の環境に最も近いものは Toradex CE6 SDK です。インストール時にプロセッサを聞かれた場合は、Arm を選択してください。
Visual Studio 2008 Professional[]
かつては所属している高等教育機関(大学、大学院、高等専門学校)が Microsoft と契約し Dream Spark Premium が利用可能であれば、そこから Visual Studio Team System 2008 の各エディション (English) の入手が可能でしたが、既に削除されています。よって、削除前に取得済みか購入済みでない限りは 90 日評価版を用いることになります。
Windows 8 以降では、ダウンロードした VS2008ProEdition90dayTrialJPNX1435988.iso をダブルクリックでマウントします。それ以前の場合は、マウントツールでマウントする、DVD に焼く、7-Zip で展開するなどして開きます。次に、setup.exe を実行してインストールします。インストール時の設定はデフォルトで構いませんが、インストール時間を短縮したい場合は右図のように選択します。デフォルト設定でインストールすると、最近の環境では SQL Server のインストールに失敗しますが、Windows CE 開発には無関係なので無視してください。
次に、Visual Studio 2008 Service Pack 1 (直リンク) を同様にして開き、vs90sp1 フォルダの SPInstaller.exe を実行してインストールします。その後、Windows Update が使える環境ではリストアップされたアップデートを全て適用しておきます。
最後に、開発環境・SDK の SDK の表のうち、VS2008 用のどれかを選んでインストールします。Brain の環境に最も近いものは Toradex CE6 SDK です。インストール時にプロセッサを聞かれた場合は、Arm を選択してください。
ビルド[]
VS2005 を Windows Vista 以降で実行する場合は、最初に出るメッセージの通り管理者権限で起動することを推奨します。ショートカットファイルを編集すれば、「管理者として実行」を毎回選択しなくても良くなるのでおすすめです。VS2008 では通常権限で構いません。
「新規作成 -> 新しいプロジェクト」で「Visual C++ -> スマート デバイス -> Win32 スマート デバイス プロジェクト」を選択し、プロジェクト名を適当に決めて OK を押します。このとき、空白を含まない ASCII のみのパスにしておくことを推奨します。また、単純なプロジェクトの場合は「ソリューションのディレクトリを作成」のチェックを外しておくとフォルダ構造が単純になります。
次にウィザードが開きます。「プラットフォーム」では先ほどインストールした Arm 用 SDK をダブルクリックして右に追加します。このとき、元から追加されている SDK は解除しても構いません。「アプリケーションの設定」では「空のプロジェクト」にチェックを入れます。これでプロジェクトが開くので、あとは左の「ソリューション エクスプローラ」にプログラムを追加し、上の「Debug」を適宜「Release」に変更して「ビルド -> ソリューションのビルド」からビルドする形になります。
リンク時にエラーが出た場合は、「プロジェクト -> (プロジェクト名) のプロパティ」を開き、「構成プロパティ -> リンカ -> 入力」の「追加の依存ファイル」に mmtimer.lib
のように入力して必要なライブラリファイルを追加します。この設定は各ビルドモード (Debug/Release)、各 SDK に対して存在することに注意してください。プロパティ画面は現在最新の VS2022 でもほとんど同じなので、通常の Visual Studio の解説サイトも参考になります。
SDK に関する補足[]
SDK をプロジェクト作成後に追加する場合は、新たにプロジェクトを作成し直すことを推奨します。構成マネージャから追加することもできますが、この方法では追加した SDK に合った設定にならず、不可解なコンパイルエラーの原因になります。